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瀬戸内海に面した岡山県は、国宝建造物を有する吉備津神社や特別名勝・後楽園、天空の城・備中松山城などの名所をはじめ、1000年以上の歴史を誇る備前焼、ピオーネを代表とする特産果物など数多くの魅力を持つ。この岡山の魅力をさらに磨いて発信し、地域新興に取り組んでいるのが、両備グループ「ワッショイサポート部」部長の清水大助氏だ。「ワッショイサポート部」は、人・モノ・情報を“運ぶ”事業展開で100年以上に渡って岡山の地で愛されてきた両備グループが2015年に創設した地方創生プロジェクトの実働部隊。清水氏は次々とアイデアをカタチにし、岡山県はもとより、瀬戸内の活性化を目指してメンバーと共に奮闘する。地域と共に成長したいという清水氏のパワーの源とは―。
地域の“輪”、グループの“輪”を背負って地域を元気に!それがワッショイサポート部
Q「ワッショイサポート部」が立ち上がったきっかけを教えてください。
清水両備グループには「ジュニアボード(通称「JB」)」という青年重役会制度があり、僕は52期の議長でした。若手社員がグループ内の問題や将来の事業などの研究と提言をする制度で、我々の期が掲げたテーマは“グループシナジー”でした。約50社の両備グループが英知を結集すればかなり大きなことができると主張をし続けていたら、当時副社長の松田*から「じゃあやってみろ」と。それで僕は本社へ異動になり、少しした頃に「地域を元気にする部隊をつくりたい」という話をされました。会社としてはさまざまな地域貢献活動を行っていましたが、もっと地域に密着し、地域を盛り上げ創り上げる実働部隊が必要だと考えていたんですね。「グループ社員が連携してみんながやる気をもって仲良くできる部署にしたい」ということだったので、「名前はワッショイってどうですか?」と。ワッショイのワは地域の“輪”にもなるし我々グループの“輪”にもなる。それで“輪を背負う”と書いて「ワッショイサポート部」という名前にしました。
* 現・両備ホールディングス(株) 代表取締役社長 松田敏之氏
Q「ワッショイサポート部」のメンバーは、どのように決めたのですか?
清水メンバーの選定は僕に任せてくださったので、JB53期議長で気が合う仲間の土屋清(両備エネシス(株)所属)と一緒に始めました。いまワッショイのメンバーは6名で、グループの社内公募で選定しています。全員が本業との兼務で、それぞれ担当業務を持っていますが、何かあればみんなで駆けつけています。僕は両備ホールディングス(株)人財本部で新卒採用を担当していたこともあり、若い社員の知り合いが多いんですね。いつか一緒に仕事しよう、ワッショイでいっしょにやろうと。「3年間はいま与えられた仕事をとにかく頑張って、4年後に自分がやってきたこととワッショイを掛けあわせたら、きっといまの僕たちではできないことができるよね」って話すんです。うれしいことに、ワッショイをやりたいと言ってくれる若い社員はけっこう多いんですよ。
新しい発想とアイデアで、地元の人たちと同じ方向性、同じスピード、同じ規模感を持つ
Q活動を始めたときにご苦労されたことはありましたか?
清水苦労というのではありませんが、両備グループ自体が地元では知られているので、忖度じゃないですけど、両備さんがきてくれたら安泰だという目でみられることもあれば、「突然来て何ができるの?」と言われることもある。それはそうですよね、いままで頑張ってきたことに口をだされたら誰だっていやですから、「いきなり来て、何がわかるんだ」と言われることを覚悟して行くし、熱意はあるのでそれを伝えるにはまったく新しい発想とアイデアで行くしかない。打ち上げ花火ではなく、3年後5年後はこうしていきたい、地域の方たちと同じ方向性、同じスピード、同じ規模感を持たせてもらい、イベントならそこから何を生みだすのか、地域の中長期的な計画をしっかりと話し合います。名刺ではなく、僕たちを受け入れてもらえるよう、地域へは何度も足を運び、信頼関係を築けるようにそれなりの努力はしています。
また、「こういうイベントが土曜にあるんだけど・・・」とか、「日曜の夜にこういう祭りがあるからおいで」と声がかかればやりくりして土日でも行って一緒に酒を呑み、腹を割って話しながら打ち解けていきます。こういう時はスーツではなくラフな服装で行っています。土屋とはタッグを組んで本当にいろいろやってきました。何かあれば二人で飛んでいきましたね(笑)。彼とは本当に気が合うんです。自治体や地域の方からいろいろ相談されるようになったのも結果がでてきたのも、彼がいてくれたからだと思っています。一人ではできない。気の合う仲間がいるからこそできるし、頑張れるんだと思います。
Q新しい発想で取り組んだ具体例を教えていただけますか?
清水高梁市の「備中松山城」や赤いベンガラの街並みで知られる「吹屋ふるさと村」で、ドローン空撮ツアーを実施しました。ドローンは個人ユーザーも多いのですが、飛行規制が厳しくて飛ばす環境があまりないんです。一方で、ドローンの空撮映像は迫力があり、地域の魅力を発信するコンテンツツールとしてニーズも高い。でも外注すれば撮影費も高い。そこでこのツアー企画を考えたんです。普通に考えたら現存天守を持つ城の上にドローンを飛ばしませんか、なんて一蹴される話ですよね(笑)。でも、ドローンユーザーは飛ばす環境や魅力的な被写体が欲しいし、撮影した映像が良ければ高梁市のPRに使える。実施する以上はこの地域にお金を落とすことが必要ですから、高梁市だからこそ楽しめる夜のイベントや観光も取り入れましょうと提案し、自治体などのご協力をいただいて1泊2日のバスツアーが実現したんです。ツアーには各地の城郭や史跡を空撮してきた専門家のレクチャーも取り入れたので、料金は10万円でしたがすぐに参加者は集まりました。現存天守を持つ城や重要伝統的建造物群保存地区である吹屋での空撮機会なんて滅多にないですから、そこに価値が生まれたわけですね。もちろん撮影映像は高梁市のPR素材として使えます。この時の映像をご覧になった他の自治体の方から「うちもやりたい」と言っていただいているんです。ただ、見せたいものと撮りたいものは違うし、ドローンユーザーは単に自由に飛ばしたい場所が欲しいのではなく魅力的な被写体が欲しいので、それに適した場所で次の企画を考えています。
Q“その地域だからこそできること”は重要な要素ですが、どのようにリサーチされるのですか?
清水もともと地域にはいいモノ、資源はたくさんあって、大事なのはそれをどう生かすか。僕は“資源の掛け算”だと思っています。このバスツアーでは、「吹屋で角打ちディナー」というのを入れたのですが、ディナーだからと言ってレストランでは味気ないでしょ。でも、吹屋の町の酒屋の店先にテーブルを出し、ベンガラ灯籠を眺めながら地元の酒を呑んで食事したら、吹屋だからこそ楽しめるディナーになる。吹屋にはベンガラの灯りも酒屋もあったし、美しい町並みもあったわけで、無かったのは、テーブルを出してベンガラの灯りを見ながら酒を呑む場なんです。定着すれば地域特有の観光資源になる。お金をかけずに見せ方を考えないと長続きはしないので、地域が持つ素晴らしい資源を如何に見せるか、如何にシチュエーションを創るかで付加価値を考えます。ワッショイサポート部は稼ぐ部署ではないので、お金の使い道はものすごく慎重だし神経を使います。ワッショイの活動をやらせていただいているという気持ちが大きいので、本当にいまこのお金を使ってやるべきかどうか、何度も自問自答するし、なるべく費用をかけないで何ができるかを考えますね。
世界に誇れる「備前焼」だからこそ、
次世代へ伝え続けるために地域の誇りを一緒に育てていく
Q岡山の伝統文化というと「備前焼」ですが、どのような普及活動をされていますか?
清水両備グループが主体となって、おかでん*の馴染み深い東山公園(岡山市)で「ひがしやま備前焼市」というイベントを始めました。ワッショイサポート部は企画や運営をお手伝いしています。備前焼は歴史もあって世界に誇れるものですが、敷居や価格が高いというイメージを持たれているので、備前焼に触れることでより身近に感じていただこうと、岡山市中心部での開催を企画しました。備前焼で“食べて、遊んで、触れて”、お子さんも楽しめるイベントになっています。実行委員会を組織するのは備前焼作家さんや窯元さん、備前市の飲食店さん。2日間で9千人程の人が来てくださるんです。両備グループの100%支援で始めましたが、3回目までを一区切りとし、4回目以降は実行委員会が中心となって地域の方々自らの熱意と努力で継続できるよう、支援規模を抑えたかたちでサポートしています。もちろん地域が自走しても僕たちはお手伝いしますよ。地域の誇りを一緒に育てていきたいという想いがありますからね。
* 両備グループ・岡山電気軌道(株)
Q備前焼の新たな発信ツールとして、「デコ備前」も清水さんのアイデアだそうですね?
清水これはね、提案するときはかなり勇気がいりました(笑)。備前焼にスワロフスキーのビーズでデコレーションしたものなんですが、備前焼の伝統を守ってきた方たちにすれば「何言ってんの?」って感じですよね。でも、伝統があってものすごく良いものなのに、若い人たちにはなかなか手に取ってもらえない悩ましい現実もある。それで、「10代20代の女性が興味をもてる備前焼を考えましょう」と備前焼作家の方たちと話しあったときに、僕から「デコ備前」を提案したんです。若い人の“備前焼の入り口”にはなるだろうと了解してくださったので、イベントで展示するためにネイルサロンを開いている友人にビーズのつけ方を教えてもらいました(笑)。その友人はもともと備前焼に興味があったので、僕が親しくさせていただいている備前焼作家の伊勢崎創さんを紹介したら完全に備前焼の虜。いまではラウンジを開いてアイスペールから灰皿から店のものはすべて備前焼を使っているんです。県内でも備前焼のことをよく知らない人もいますし、伝統を次世代につなげていくためにも、こういった備前焼に触れる機会を増やしていくことは本当に大事だと思いますね。ちなみに両備グループの社章は備前焼でできているんですよ。
「WONDERFUL SETOUCHI」で瀬戸内を発信し、瀬戸内に人を呼び込む
Q瀬戸内の魅力紹介冊子「WONDERFUL SETOUCHI」は清水さん達が作っているそうですね?
清水はい、内製です。冊子をつくった経験はまったくなかったので最初はボロボロでしたよ(笑)。いま11号目になってようやく評価していただけるものになってきました。取材も記事を書くのも僕たちスタッフです。うちのグループにはバスや電車の車体、制服、マンションまでデザインしている部門があり、デザイナーにしてみれば冊子は勝手が違って難しいものかもしれませんが、デザインの専門性はあるからそういったところを生かせますよね。各号で特集記事を設けているので、ターゲットになる読者が冊子を見たときに、行ってみたい、体験してみたいと思えるように、現実のイメージがつきやすい人、伝わりやすい人にモデルになってもらっています。知り合いに頼んだり、僕たちもモデルになりますよ(笑)。費用をかけずにどのように地域の魅力を惹きだすのか、地域に通っている僕たちだからこそわかることがありますし、体験者が伝える情報はお客さまへの説得力につながるでしょ。誰に何をどう伝えるのか、ここは大切にしているところです。
QツーリズムEXPOジャパン2019*では、「WONDERFUL SETOUCHI」のブースがグランプリでしたね。おめでとうございます!ブースの企画もワッショイのメンバーが考えられているんですか?
清水ありがとうございます。何年も出展しているので、企画といっても良かったものを翌年に取り入れています。僕たちは自分たちでは何もできないんですよ。備前焼ひとつとっても僕がろくろ体験の講師ができるわけではないし、“しょうゆのソフトクリーム”は機械さえあれば僕でもできますが、その味を創ったのは僕ではないので“想い”というのがない。やっぱり想いを持っている方が実演するからこそ良さが伝わるし、それを見て僕たちも学ぶことがあるんです。ブースに多くの方が来てくださることで、実演の方たちもその熱気を体感でき、忙しい中で出ていただいたことの意味が生まれるんです。一方で、備前焼も使ってみないと良さはわからない、米の美味しさも食べないとわからない。体験した人から聞くから本当の良さが伝播していくので、僕たちのイベントは展示だけではなく体験モノを必ず取り入れています。瀬戸内の良さを知っていただくために企画をたてますが、地域のみなさんの力を借りないとこういった場は創れないので、僕たちは地域の方たちに助けていただいているんですよね。
* 世界最大級の旅の祭典 主催:日本観光振興協会、JATA、JNTO
兼務だからこそできること。
各々が持つスペシャリティを如何にワッショイの活動につなげられるか―。
Qワッショイサポート部の活動をするうえで、兼務は大変ではないですか?
清水大変といえば大変ですが楽しいですよ。兼務だからできることもあるんです。例えば、採用担当の立場なら地元と学生をどうつなげられるか。先ほどお話しした冊子には学生記者のページがあって、“地域を元気にしよう”というワッショイサポート部のインターシップの位置づけで、学生目線でいろいろ見てもらっているんです。僕たち社会人では気づかないこと、忘れてしまっていることを学生たちは持っているので、学生の力を借りることによって僕たちは気づきや学びをもらえる。学生が自分たちの足で取材し、アピールした地域に人が集まればその地域に愛着も湧く。採用の立場でいえば学生とのつながりが強くなりますよね。いま僕はリョービツアーズが本業ですから、ツアーを企画して実行すれば収益もでるし、バスを走らせるときはグループのバス会社に頼めます。地域活性化と本業は、絶対に何かしら繋がっているので、「両方できる?」ではなく、それぞれが持つオリジナルのスペシャリティを如何にワッショイにつなげられるか、ですね。
Qグループ各社のみなさんとも協力し合って、という感じですね?
清水JBには各期の議長会というのがあり、全員がSNSでつながっています。「こんなことしたいんだけど、どう思う?」と送れば、「こういう人がいればおもしろいね」って人を集めてくれたり、「こういう事業を企画したんだけど、○期の議長、この責任者をやってもらえる?」って送ると、「オッケー!」みたいな。なかなかないでしょ、こういう会社(笑)。グループ会社の横のつながりがJBで生まれていてすごくいい関係です。また、例えばツアー用のミールクーポンをつくるときにツアーズの先輩たちに相談すると「あそこの地域でおもしろいクーポンを作っているから参考になるよ」とか、「ここをこうすると行程表に入れやすいよ」っていろいろな情報もアドバイスももらえる。みんなすごく協力的ですね。両備グループにはスペシャリティを持っている人がたくさんいて多様性があるので、そこに地域活性化を掛けあわせることによって答えが大きくなるということがわかったんです。みんなが本業をしながら「地域を元気にするにはどうしたらいいか」って考えたら、うちの会社ならすごい化学反応が起きると思っているんですよ。
Q地域を元気にしたいという想いは、ワッショイの活動以前からあったのですか?
清水僕は東京出身で、東京で暮らしていると東京の地域活性化って聞かないでしょ。地元愛がないとは言わないけど、あまり意識したことはなく、活性化という意味では岡山に来てからですね。両備グループは電車やバスなどの公共事業ということもあって以前からまちづくりに力を入れているんですね。「子どもも楽しいまちづくり」というテーマがあって、その中心的なのが「おかでんチャギントン電車」と「おかでんチャギントンバス」。世界中で人気のイギリスアニメ「チャギントン」の世界が広がる路面電車と路線バスなんです。観るのも楽しいし、乗るのも楽しい。こういった電車やバスが街を走ることで地域が明るくなるし、子どもたちの夢も広がりますよね。
活動の根底にあるのは、岡山の人たちや地域への「感謝」
Qワッショイサポート部の活動をされていて、一番得たものとは何でしょうか?
清水人との出会い、人脈です。これは財産ですね。本当にいろいろな方と知り合うことができたので、何かこんなことしたいと思ったら、誰かしら相談できる人がいる。僕は専門性も何もないけど、素晴らしい方たちに出会えたことは、ワッショイをやっていてよかったと思うところですね。僕が担当しているのは主に備前市と高梁市。みなさん本当にいい方たちばかりで、お会いして話すだけでもパワーをもらえるんですよ。サポート部だけど僕が地域の方々に支えられている感じです(笑)。
Q今日は備前市の鷹取醤油さんでお話をうかがっていますが、この地域の魅力を教えていただけますか?
清水人ですね。素敵な方が多い。鷹取醤油さんは創業110年以上も続く老舗で、鷹取社長はこの香登(かがと)の地域で伝統を守りながら時代に合った商品も積極的に開発されていらっしゃる。とにかく面倒見が良くて優しいし男気があるのでファンも多く、僕もその一人です(笑)。醤油蔵に隣接するアンテナショップ「燕来庵(えんらいあん)」ではドレッシング作り体験もできるので、僕はツアーや学生たちのフィールドワークに利用させていただいています。この店のソフトクリームをはじめとする醤油スイーツは絶品ですよ。
この地域は人口減少や高齢化が進んだことで耕作放棄地が多くなっていたのですが、7年程前からここで美味しい米を作っているのが、いちけんファームの石原社長。耕作放棄地を何とかしたいという強い想いで農業に挑戦し、ゼロの状態から米作りを始められたんです。今年はおにぎり屋さんも開店されたし、農業体験の一環としてチャギントンで田んぼアートにも挑戦されて。みんながこの田んぼの成長を願い、収穫体験をするというのは地域が活気づくし明るくなりますよね。伊勢崎創さんの備前焼ギャラリーは、香登からほど近い伊部という町にあって、約200年の茅葺き屋根の古民家ですごく素敵なんですよ。創さんは備前焼の接点を増やそうといろいろ取り組まれていて、今度、創さんのギャラリーで夜のイベントを企画中なんです。まだ言えないですけど(笑)。石原さんのおにぎり屋さんも創さんのギャラリーも後ほどご案内しますね。
Q地域活性化の活動をされるうえで、大切だと思われることは何ですか?
清水こういった活動をやらせていただいている、という地元への感謝ですね。やってあげているとか、何とかしてあげようという気持ちは全然なくて、冊子の取材も、掲載してあげますではなく、こんなに素敵なんだから掲載させてくださいという気持ちで仕事しています。岡山の方々が良いものをずっと育ててきてくださったから観光客が来てくれるし、人が住んで町が賑やかになるから両備グループの事業が成り立つので、地域への恩返しというか、感謝しかないんですよ。ワッショイの若いメンバーたちも同じ想いです。両備グループの企業理念は「忠恕(ちゅうじょ) -真心からの思いやり-」で、お客さまや地域への感謝の意が込められています。「忠恕」って利益ばかりを追求できなくなるんですよ。100年200年愛されるような企業になるには、「忠恕」が無ければ生き残れなくて、両備グループは2020年で創立110周年になりますが、長く続いているのは先輩たちがこの精神をずっと受け継いでこられたからですし、僕たち社員には「忠恕」が染みついています。地域に感謝、この気持ちで地域の方々と地域を盛り上げ、地域と共に僕も成長していきたいですね。
(2019年12月インタビュー 備前市にて)
清水さんの“仲間たち” -備前市のみなさん
- 鷹取宏尚さん(鷹取醤油株式会社 代表取締役社長)
うちの店では15年続いている「豊穣祭」(11月開催)というイベントがありまして、両備さんの方たちがうちの法被を着て、駐車場への車の誘導からお客さまへの案内までずっと手伝ってくださっているんです。今年は小学校が運動場を開放してくださったので、テントを張って会場を拡げ、2日間で8,500程の人が来てくださいました。校長先生の発案で、6年生の課外授業として鷹取の良さ、香登(かがと)の良さをレポートしてそれを配ってくれたんです。地域密着というのはずいぶんこの香登地区に根付いてきたと思いますね。よその方から見れば、地域には大切にしなければいけないものや珍しいものがたくさんあると思いますけど、地域のなかにいるとそれに気づかない。清水さんたちが、これ面白いですよ、こういうのはもっと発信したほうがいいですよって、別の目線でアイデアを言ってくださるので僕たちにはそのアイデアがとても役立つし、本当に助かっています。
鷹取醤油株式会社
- 石原伊知郎さん(株式会社伊知建興業、いちけんファーム株式会社 代表取締役社長)
本業が建設業なので農業はまったくの初心者でしたから、みなさんのお力を借りて何とかやってきました。無農薬の田んぼが1つあって、すごく草が伸びるんですけど、清水さんと土屋さんが真夏に草刈りしてくれて本当にありがたいです。これからは6次産業化をやっていこうと、クラウドファンディングを利用しておにぎり茶屋「穂の蔵」をオープンしたんです。米づくりはまだまだで、もっと上手につくられる人はほかにもたくさんおられるけど、自分が地域の人と取り組んだ米を味わっていただきたくて、荒廃地を無くしたいという想いと、携わってくださった人たちに提供できる場所をつくりたかったんです。清水さんからアイデアをいただいて、地域に人を呼べるなら農業体験という取り組みもいいなと思って、田んぼアートは青森の田舎館村や岡山の虎ちゃん田んぼ(美作)など十数年されている方のご指導をいただきました。まだ1年目ですが、5年計画で「チャギントン田んぼ」を育てていこうと思っています。
株式会社伊知建興業、いちけんファーム株式会社
- 伊勢崎創さん(備前焼作家、日本工芸会正会員)
清水さんからの依頼で備前焼の茶器をつくり、両備さんの来客用に使っていただいているんですが、ほかの会社でも備前焼茶器を使っていただけるようになり、備前焼を知っていただく良いきっかけをつくってくださっています。我々は創作が本業なので、備前焼の未来を考えれば人に手に取ってもらわなければいけないと思っていても実感できずにいたんです。でも、清水さんたちとご一緒して、最終的には地域と一緒に盛り上げていかないと我々の仕事も続かないと意識するようになりました。いろいろな取り組みをしていると、手伝いたいと言ってくれる後輩もでてきたし、上の方から「ようやっとるな」と言われるともっと頑張ろうと思えるんです。これからの時代にあう工芸で、産業の活性化につながっていけばいいと思いますし、すぐに答えがでるものではないですが、やらなければ答えは何もでない。清水さんたちからそういう感覚を教えていただいたと思っています。
茅葺きギャラリー陽山居 | SO ISEZAKI
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ツーリズムEXPOジャパン 「ワンダフルセトウチ×DISCOVER WEST連携協議会」出展ブース
- 2017年 「実行委員長賞」(ブースグランプリ)
- 2018年 「準グランプリ」(ブースグランプリ)
- 2019年 「グランプリ」(旅のプロが選ぶブースグランプリ)
- 「準グランプリ」(旅の愛好家が選ぶブースグランプリ)
- profile清水大助(しみず・だいすけ)
両備グループ経営戦略本部 ワッショイサポート部部長/(株)リョービツアーズ 営業推進部部長 - 東京都出身。2008年(株)両備リソラ入社。2011年より両備ホールディングス(株)グループ営業サポート部。2016年より両備ホールディングス(株)両備経営サポートカンパニー人財本部グループリクルート部部長、2019年4月より現職。2015年に両備グループが創設した地方創生プロジェクトの実働部隊「ワッショイサポート部」の部長に就任し、岡山をはじめとした瀬戸内の活性化に尽力している。
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